バイオマス利活用先進事例視察に関する情報

鶏糞肥料化工場視察(鈴鹿)

さる7月6日、三重県鈴鹿市にある有限会社鈴鹿ポートリーを訪ねました。鈴鹿ポートリーでは、ウィンドレス鶏舎で鶏を飼っているほか、縦型発酵槽で高性能な有機質肥料を生産されています。豊橋でも養鶏、養鶉が盛んですので、有効利用方法のヒントにすべく、訪問しお話を伺いました。

鶏糞の特徴

「はじめに」の表1を見ていただくとわかるとおり、鶏糞は牛糞や豚糞に比べて窒素分が多く、肥料としての効果がより期待されます。

肥料は、植物に働く速さで、「速効性」と「緩効性(または遅効性)」に分類することが出来ます。速効性の化学合成肥料は、一般に作物生育をコントロールしやすいですが、効きが長持ちしません。一方緩効性の場合、長期間にわたって肥効が続くので、追肥の手間が減る等のメリットがあります。

環境に配慮した、有機農法やエコファーマーの場合、肥料成分として有機質肥料を使います。生の畜糞(特に鶏糞)は土壌に施用した時、有害なガスが発生する等、作物に悪い影響を与えることがあり、安定化を図るため「堆肥化」を行います。堆肥は作物に悪い影響がほとんどなく、各種の肥料成分を含むので、有機質肥料として有効です。ただし、発酵の過程で分解されやすい(=植物が利用しやすい)成分が、微生物のエサとなってしまい、効き方は緩効的になります。そのため一般的に、有機質肥料への依存度を高めると、作物の生育がコントロールしにくくなり、慣行(化学合成肥料を使う)農法に比べて収量が落ちてしまうことがあります。

鶏糞を速効性有機肥料に

鳥は排泄口が一つしかなく、糞と尿を混合して排泄します。尿の中には「尿酸」がたくさん含まれ、尿酸は微生物の持つ「ウリカーゼ」という酵素で速やかにアンモニアに変換されます。畑の場合、アンモニアはさらに硝酸に変換されます。これらアンモニアや硝酸は作物の大切な栄養素です。
鶏糞は、有害ガスの発生等のデメリットもある反面、尿酸という速効性の成分をたくさん含んでおり、「作物の生育をコントロールできる有機質肥料」としてのポテンシャルを持っています。

鶏用の飼料中には、牛や豚に比べて窒素成分が多いのですが、腸が短く短時間で排泄されてしまうため、このことも糞中の窒素濃度を高めています。窒素成分が多い糞は堆肥化が難しく、失敗するとひどい悪臭を放ちます。そのため、豚や牛の糞に比べて、鶏糞は天日や加熱による「乾燥鶏糞」にする場合が多かったようです。

鈴鹿ポートリーの概要

鈴鹿ポートリーは、三重県鈴鹿市に位置し、成鶏3棟6ロット、育成1棟2ロットのウィンドーレス鶏舎で、成鶏6万羽を飼育しています。
鶏卵は、施設内に誘致したGP(鶏卵の格付包装)専門業者が選別から箱詰めまで行うことで、より品質の高い衛生的な卵の供給を可能にしています。
鶏糞に関しては、鶏舎内に鶏糞乾燥機を設置するほか、鶏舎外には密閉縦型発酵装置2基を持ち、堆肥化をしています。出来た堆肥は、耕種農家が使いやすいようにペレタイザーによって、ペレット化しています。

「Suzuka有機」の特徴

「Suzuka有機」は鈴鹿ポートリーで製造・販売している鶏糞肥料で、窒素含量が高く、普通肥料として登録されています。

密閉縦型発酵装置イメージ 密閉縦型発酵装置

まず作り方ですが、鶏舎内で排泄された糞は、鶏糞乾燥機で水分を低く抑えながら、5~7日毎に除糞します。次に糞を容量18m3の密閉縦型発酵装置(中部エコテック社製、2基)に移し、5~6日発酵処理をします。この時発酵装置の中は60度以上にもなります。最後に成型・乾燥により水分を20%以下にまで下げます。

窒素含量を下げないためのコツは、大きく二つあります。1つ目は、鶏舎内では鶏糞乾燥機で乾燥させることで、ウリカーゼを産生する微生物の働きを弱めます。2つ目は、密閉型発酵装置で短期間の発酵及び乾燥を行うことで、発酵熱がウリカーゼを働かなくさせるとともに、熱とその後の乾燥によりウリカーゼを作る微生物を殺菌します。
これらの処理により、通常2%程度といわれる堆肥(肥料)中の窒素含量を、4%(保証濃度)にまで高めることを可能にしています。さらに、通常の堆肥では分解されてしまう尿酸を2%以上含んでおり、速効性肥料として、化学肥料の代替利用を可能にしています。

自動袋詰めラインイメージ 自動袋詰めライン
ペレット化設備イメージ ペレット化設備

資源の節約と有効利用のために

1993年時点で、国内で発生する畜糞は9000万tあり、それらに含まれる肥料成分は、海外から輸入している化学合成肥料に匹敵する量だそうです1)
  石油価格の高騰や鉱石の枯渇等、現在の化学肥料に依存した農業を脅かす要因は増えてきています。畜糞には豊富な栄養成分が含まれており、特に資源の乏しい日本にとっては立派な資源です。それぞれの畜種の特徴に応じた、最適な処理・利用をすることで、少しでも化学合成肥料への依存度、環境への負荷を軽減したいものです。

参考文献

1)有機質資源化推進会議 有機廃棄物資源化大事典,P.336,農文協

目次「バイオマス利活用先進事例視察に関する情報」

このページのトップへ

サイトマップ