バイオマス利活用先進事例視察に関する情報

はじめに

家畜排せつ物の処理

戦前まで日本の畜産は「役畜・軍用中心の零細かつ農家副業的」(*1)なものでした。野草や残渣物(人間の食べ物の残り)が家畜の飼料であり、1軒の農家が飼える頭羽数は限られました。そのため、排せつ物の量もわずかで、自前の田畑へ肥やしとして施用でき、処分に困ることはありませんでした。

ところが、戦後の国の飼料・畜産政策等により、畜産は「輸入飼料原料への依存を前提」1)とした大規模な産業へと、変貌を遂げました。エサの輸入は営農の大規模化を可能にしましたが、一方で排せつ物の処理の問題を生むことになります。戦前のように、周辺から取れたものをエサとしている分には、排せつ物も周辺に還すことができますが、輸入飼料に依存した大規模畜産では、時として排せつ物を適正に処分することが困難になる場合があるのです。

畜産農家は、規模の拡大とともに、排せつ物の処理の問題を抱えるようになりました。そして当初は、なるべく手間がかからないよう、一定期間野積みし安定化させた後、畑に散布するというような方法をとっていました。しかしこの方法では、排せつ物中の成分が雨で地中にしみ込み、地下水を汚染してしまいます。平成11年「家畜排せつ物法(家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律)」が施行され、コンクリートの床や屋根がある施設で保管する等適正な管理が求められるようになりました。

家畜排せつ物の有効利用方法

家畜排せつ物の中には、表1のように、植物にとって肥料となる窒素・リン酸・カリ等が多く含まれています。生の家畜排せつ物や発酵処理(堆肥化)したものを、田畑に施用するというのが第1の利用方法です。
この方法は非常に簡便ですが、堆肥や生糞は多くの水分を含みかさばるため長距離輸送には向かず、一方で環境への影響から、田畑に還元できる量は制限されるため、豊橋のように大規模畜産が盛んな地域では、しばしば「堆肥あまり」の状態となってしまいます。

第2の利用方法として、エネルギー利用があげられます。エネルギー利用には、排せつ物を嫌気的に発酵させメタンガスを生成させ燃料として利用する「メタン発酵」や、直接燃焼させる方法等があります。これらの方法では、減容化がはかれる等のメリットもありますが、消化液(メタン発酵をした後のカス)の処理、高額な設備費用等の問題も残されています。

表1.代表的な家畜糞の分析例(*2)
種類 水分 有機物 炭素 窒素 炭素率 灰分 リン酸 カリ カルシウム マグネシウム BOD
牛糞 84.3 72.6 41.4 1.8 23 27.5 2.7 0.7 3.7 1.5 22,000~26,000
豚糞 81.1 80.9 41.5 3.9 11 19.1 4.8 0.4 4.9 1.6 55,000~60,000
鶏糞 75~80 72.9 42.2 4.6 9 27.3 8.6 2.3 10.9 1.6 65,000~70,000
(水分は現物%、他は乾物%、BODは現物mg/㎏)

東三河バイオマス研究会

平成18年度、豊橋技術科学大学三枝教授を座長に迎え、豊橋市と㈱サイエンス・クリエイトが中心となり、東三河の市町村等を集めて「東三河バイオマス研究会」が発足しました。研究会では、各市町村のバイオマスに関する処理の現状について話し合ったり、各種処理のご専門の方をお招きしてお話を伺いました。

現在、研究会等で明らかになった問題点のいくつかについて、食農産業クラスター協議会の中で解決策を検討中です。

参考文献

(*1)村上良一 加工型畜産と飼料メーカーの展開―1950年代~70年代を中心に―,経済論叢(京都大学)第149巻第4・5・6号,1992年4・5・6月,京都大学経済学会

(*2)有機質資源化推進会議 有機廃棄物資源化大事典,P.335,農文協

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